日記(うんちく放題)
2011年に断腸亭さんに古東海道をご案内頂いた時山田美妙に辿り着いた事がありました。3年後「矢切の渡しや野菊の墓」のスピンオフから、また美妙に辿り着いてしまいました。うまく整理することができるかどうか"ビミョー"ですが、興味のある方はお付き合いください(苦笑)左:山田 美妙 右:国木田 独歩
山田 美妙(本名:山田 武太郎 1868-1910年)42歳没
国木田 独歩(本名:国木田 哲夫 1871-1908年)36歳没
ほぼ同世代の明治時代の小説家・詩人の二人ですが小説「武蔵野」と随筆「武蔵野」で、厳密にはジャンル違いですが「武蔵野」と言えば、先ず浮かぶのが国木田独歩であり、山田美妙を思い浮かべる人は、ごくわずかでしょう。
山田美妙を知るきっかけは、3年前に明治時代の写実主義と言文一致運動を調べていた事に依りますが、その際下記の3人に触れなければなりません。
左:初代三遊亭 圓朝 中:坪内 逍遥 右:二葉亭 四迷
三遊亭 圓朝(本名:出淵 次郎吉 1839-1900年)61歳没
坪内 逍遥(本名:坪内 雄蔵 1859-1935年)75歳没
二葉亭 四迷(本名:長谷川 辰之助 1864-1909年)45歳没
二葉亭四迷が小説「浮雲」で日本文学史上、写実主義と言文一致を開花させたことはあまりにも有名ですが、そのルーツが幕末〜明治にかけて活躍した、初代三遊亭圓朝(円朝)であったことは意外に知られていません。くたばってしまえ=二葉亭四迷の真偽はわかりませんが、「亭」を付けた所以は、三遊亭にたいする畏敬であったことには間違いないと思います。
明治に日本語の速記が開発され、初代圓朝は自身の新作落語の口述筆記を「やまと新聞」に連載することを許可しました。初代圓朝の場合、落語と言ってもいわゆる滑稽噺(お笑い)ではなく、人情噺や怪談噺など、現代風に言うならば、火曜サスペンス劇場とかミステリードラマですね。
寄席に行かなくても、新作サスペンス&ミステリーが読めて
ハラハラドキドキの物語がいい場面で終わって、この項続く
....と連載される訳ですから
「え〜!この後どうなるの??」
と、そりゃ、やまと新聞の販売部数も伸びる訳です(笑)
二葉亭四迷が残した文章によると
何か一つ書いて見たいとは思つたが、元來の文章下手で皆目方角が分らぬ。坪内(逍遙)先生の許へ行つて、何うしたらよからうかと話して見ると、君は圓朝の落語を知つてゐよう、あの圓朝の落語通りに書いて書いて見たら何うかといふ。つまりは二葉亭四迷は、文学には客観描写(=心理的写実主義)が重要であると説いた小説「真髄」の坪内逍遙からアドバイスを受け、初代圓朝の落語の文体をお手本にして「浮雲」が完成した訳です。
そのように書いて先生の許へ持つて行くと、篤と目を通して居られたが、忽ち礑(はた)と膝を打つて、これでいゝ、その儘でいゝ、生じつか直したりなんぞせぬ方がいゝ」
話を整理&箇条書きにすれば以下のようになります。
■ 日本語の「言文一致」のルーツは落語家初代三遊亭圓朝
■ それを文学史上、実践したのは二葉亭四迷の【である調】
■ 日本に留学した魯迅が「狂人日記」で中国で口語体文学を開花させる
初代三遊亭圓朝の影響力は物凄いですね。
歴代圓朝の中で大圓朝と呼ばれる所以ですね。
さて、話を山田美妙に戻しますが、明治期の言文一致運動に二葉亭四迷と同様の功績のあった筈の山田美妙がほとんど知られていない。その理由は美妙のスキャンダラスな生き様に依るところが大きいのでしょうが・・・。
山田美妙を語っている書籍の中では嵐山光三郎著の美妙、消えた。と美妙 書斎は戦場なりが面白く読みやすそうです。
さて、何故「矢切の渡し」や「野菊の墓」から山田美妙に辿り着いたのか?は次項にて。
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