米ぬかアラビノキシランとは何ですか?

■代替医療と健康食品

まずアラビノキシラン[Arabino xylan]とは、キシロースの主鎖にアラビノースが結合した、ヘミセルロース[Hemi Cellulose]を構成する多糖類です。ここでは身近な例を挙げながら、アラビノキシランをできるだけわかりやすく説明していきます。
※ざっくりの説明ですので広義&狭義に分岐する解釈は極力省略しています。

ブドウ糖(グルコース)の構造式

ブドウ糖(グルコース)の分子構造式
右は鎖をまっすぐに伸ばしてわかりやすくした図(フィッシャー投影式)
ここでのポイントは、ブドウ糖=単糖
糖はC炭素と(H水素O酸素=水)の化合物=炭水化物

炭水化物は、主に植物の光合成によって作られます。炭水化物といえば、ご飯、うどん、パン、芋、果物などを思い起こすでしょうか?ヒトは、米・小麦・トウモロコシ(三大主食)や、野菜・果物などの炭水化物から、最終的にブドウ糖(グルコース)に分解して栄養素(エネルギー源)としています。

砂糖(スクロース)の構造式

砂糖(スクロース)の分子構造式
砂糖(ショ糖)=グルコース+フルクトースが結合した=二単糖
ヒトの腸液酵素(サッカラーゼ)でグルコースとフルクトースに分解されます


近年、健康志向の高まりから、砂糖の代わりにオリゴ糖を利用する人も増えてきました。オリゴ糖はサッカラーゼで分解されず(腸管吸収されず)に、ビフィズス菌の餌になるなど整腸作用があるとして、特保(特定保健用食品)指定の糖質となっています。
オリゴ糖には「フラクトオリゴ糖」「イソマルトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」「キシロオリゴ糖」「ラフィノース(甜菜)」「大豆オリゴ糖」「乳果オリゴ糖」など、原料(由来)によって分別されます。

サッカラーゼ[Saccharase]という酵素名が出て来ましたが、これはサッカライド[Saccharide]糖質(炭水化物)分解酵素という意味です。ブドウ糖(グルコース)のような、単糖はモノ・サッカライド。単糖分子が10個未満結合したものを総称してオリゴ糖。単糖が二桁以上結合したものを、ポリ・サッカライド(多糖類)と呼びます。

糖質=炭水化物は、おもに植物の光合成によって生産される事を説明しました。炭水化物というと、なにか栄養素になるような気がしますが、栄養素にならない炭水化物もあります。それがいわゆる食物繊維=ダイエタリーファイバーです。
砂糖がサトウキビや甜菜(さとう大根)から、作られていることはご存知だと思うのですが、砂糖もオリゴ糖も広い意味では食物繊維のひとつです。砂糖は腸管で素早くブドウ糖に分解されて、血中に入っていきますが、オリゴ糖は腸管でブドウ糖に分解されなかったり、分解されるまで時間がかかる食物繊維です。

セルロース[Cellulose]地球上で最も多く存在する炭水化物(食物繊維)で、植物の細胞壁を構成する糖質です。植物細胞壁は、この他ヘミセルロース・リグニン・ペクチンなどの糖質から構成されています。セルロース・ヘミセルロース・リグニンなどの糖質を一言で例えると「硬い」繊維です。私達人間は、骨格で身体を支えていますが、骨のない植物は体全体を細胞一つ一つを硬いブロック(細胞壁)で支えています。

代表的な草食動物である牛が、4つの胃袋を持ってる事はご存知だと思います。牛は牧草や藁の食物繊維(セルロース)を胃袋の中に住んでいる微生物(菌類)に分解してもらっています。
「え?牛君の胃袋に菌が住んでいるの?気持ちワリー!」
「何言ってるんですか?あなたの腸にだって100兆個くらいの菌が住んでいますよ」(笑)
いけない・・・また脱線しそう(汗)

「硬い果実」と言えばクルミの殻で、ほぼ80〜90%がセルロースとリグニンから構成されています。また、リンゴは柔らかいですが、外皮の硬い部分にペクチンが多く含まれています。

ヘミセルロース[Hemicellulose]は、木材(幹)などで、セルロースとリグニンの間に不均一に結合して存在している食物繊維(多糖類)です。ヘミセルロース中の糖を利用したもので身近な例は、ガムの甘味料に利用されているキシリトールで、キシラン・ヘミセルロースを原料としています。
これまでは、樺の木などヘミセルロースから取り出していましたが、昨年(2012年)北見工業大学の研究グループが、コーンコブ(トウモロコシの芯)に酵母菌を使ってキシリトールを生産する技術を開発しましたので、近い将来のキシリトールはトウモロコシ原料になるかも知れません。


さて、ようやく本題に近づいてきました。
ヘミセルロースを構成する糖の中で、キシロースとアラビノースが結合したものがアラビノキシランです。アラビノキシランは竹・サトウキビ・トウモロコシ・小麦などイネ科の食物繊維に多く含まれています。
竹やサトウキビやトウモロコシなどが、高い背丈になっても倒れない訳は、一つ一つの細胞壁(食物繊維)が硬く結合しているからなのです。また、アラビノキシランは米・小麦・トウモロコシ種子の外皮にも多く含まれています。

米の外皮=米ぬか
小麦の外皮=ふすま
トウモロコシの外皮・・・普段は枝豆(大豆の完熟前)と同じように、完熟前に茹でて食べてしまっているので実感がないと思いますが、ポップコーンの材料になっているあの硬いトウモロコシ粒の外皮です。

米ぬかアラビノキシランの分子構造式の構造式

米ぬかアラビノキシランの分子構造式
アラビノース+キシロース=アラビノキシラン
これがn個(二桁以上)つながって多糖類。

米ぬかアラビノキシランは、腸液でブドウ糖に分解されないまま、血中に入っていき免疫系統に刺激を与える多糖類です。研究論文や治験データはNPO日本食品機能研究会がこちらで⇒[データ開示]しています。

小麦由来やトウモロコシ由来のアラビノキシランは、難消化性多糖類としての整腸作用に関する論文等は見かけますが、免疫系統へのデータは開示されていないので評価のしようがないですが、あくまで加工食品ですので副作用についてはほとんど心配はないと思います。

よくTV通販などで、ビタミンCのはレモンの○倍!鉄分はピーマン○個分!などのPRを目にしますが、いわゆる自然食品のような「明らか食品」については問題ないのですが。免疫賦活作用などより医薬品に近いような食品の機能性(生理活性)をPRする時に、この表現を使うのは・・・・
危険というか、原料(由来)の違うオリゴ糖でも全部一緒と考えているというか、販売されている商品自体の評価はできませんが、まぁあまり信頼できる業者さんとは言えないですね。

次回はジェネリック医薬品とゾロ品についての予定です。

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2013年06月20日

posted by たすけ at 17:41 | Comment(2) | TrackBack(0) | ■代替医療と健康食品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは
難しいな〜。
C、O、Hばかりしか出てこないので炭水化合物なんですね。

六角形のベンゼン環のように書いてあるのを鎖状有機化合物のように書くのを「フィッシャー投影式」って言うんですね。
O(酸素)の片方の手を離して手元にくっつけた。
ますますわからない。
メチル基にOH基がたくさんついている事だけわかった。
わからないのにコメントしてすみません。
私のやっている工業製品は皆石油系の有機化合物ばかり。メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・・・・などのガスを圧縮して製品の元の化合物(エチレン、プロピレン・・・など)をつくります。
どこか似たところがあるのかな?
Posted by Roman at 2013年06月21日 10:40
>Romanさん
コメントありがとうございます。

うぅぅ・・・やっぱそう(よくわからない)ですかぁ
この話の続きで、健食業界のゾロ品の内幕を書くつもりなんですが

こういう話題は、真面目に書こうとするとかえって混乱しちゃいますね。

もうちょっと順序立て、わかるように、ちょっと過去記事から順番に整理し直します。
Posted by たすけ at 2013年06月21日 14:57
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