■代替医療と健康食品
シュタイナー医学をアントロポゾフィー医学という場合もあります。シュタイナーが著した「テオゾフィー」や「神秘学概論」によりシュタイナー医学を人智学ではなく神智学という場合もあります。
ヒーリングという言葉もよく聞くようになりました。
「波動やスピリチュアリズムを心身に働きかけて生命力・自己治癒力を引き出し、治癒・回復を促す」...と。なんとも胡散臭い説明がされる言葉です。
私たちは日常的に気分転換でストレスを解消していますが、平たく言えばこの気分転換もヒーリングです。ある症状に効く筈の薬を飲ませていても、一向に改善しなかったのに、患者が抱えていた心配事が解決した途端に症状が改善したり、薬の効果が顕著に現れる。このような物質と精神の相互作用を重視し、患者にとって最良のタイミングで薬の投与を計るのがシュタイナー医学の真骨頂と言えます。
私がベルリンのHavelhoehe(ハーフェルホーエ)病院で体験したアントロポゾフィーは音楽療法や絵画療法などでしたが、ここではドクターとセラピストは同格であり治療方針の主導権は患者自身にあります。これは自己主張がはっきり言える欧米人の気質とそれを当たり前考える風土が根底にあればこそで。「治療方針はすべて先生にお任せします」という受動的な日本の風潮の中では、なかなか同じようにはいかないと思います。
理想的なシュタイナー医学が実践できる病院とは、内科・消化器科・外科・脳神経外科などの各専門医とアート・オイリュトミー・マッサージなどの各セラピストがチーム医療として常に科学的データを把握しながら患者のボディ(身体)、マインド(心)、スピリット(霊性)の人間丸ごとを診れる環境下にあることです。
アントロポゾフィーと聞いて眉をひそめる人も多いのですが、それは宇宙エネルギーだとか、霊性(魂)だとかのオカルティズムな要素を含むからで。実際、怪しげな霊感商法やヒーリング商法で、病気で悩んでいる人や家族から多額の金品を巻き上げる団体もありますので注意は必要です。少なくとも現代医学を真っ向から否定し、感性(個性)の異なる患者にすべて同じ治療(施術)法を強要するようなところは避けた方が無難でしょうね。
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